秋だから
    腹もめげすに
          せつない系(4)

そして二人は再び、各々のフュージョンのポーズを取った

「・・・いいか悟飯。失敗したら30分はやり直せねえ・・・・・。
 そしたら牛丼は食えなくなる・・・・・・・。
 つまりこれは失敗の許されないフュージョンなんだ。気を引き締めろよ。」

「は・・・・・はい・・・・」

いつになく真剣な悟空の顔を見て、悟飯も気を引き締める。

「いくぞ!!!」

「はい!」

『フュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ジョン!ハッ!!!』

二人の指が重なった瞬間、校舎裏に眩い光が走る。
闘いを目的としてはいないため、気は日常のままでフュージョンしたのだが、
それでも悟空と悟飯がフュージョンしたのだ
辺りには一瞬暴風が吹き荒れる。
そして、ほんの数秒経つと、光はおさまり、そして風も吹き止んだ。

「ふう・・・・・・どうやら成功みたいだな・・・・・・・」

人気の無い校舎裏、しかしそこにはたった今誕生したばかりの
一人の男が立っていた。

髪の色は黒。前髪をやや右側で分け、そして後ろの髪は悟飯のような感じだ。
服はというと、この秋の寒空とは不釣合いに、お腹を出している。

そう、その男は悟空と悟飯のフュージョンによって、誕生した者だった。

「えっと・・・オレの名前は・・・孫悟飯だっけ。
・・・なんだそのまんまじゃないですか・・・」

少し、不満な顔をする’悟飯’。
そして不完全なフュージョンだったのか、
微妙に悟空語と悟飯語が入り混じっている。
「ま、いっか。オレはここの学校の食堂の牛丼食べればいいだけだしな。」

そう言い、悟飯は先程から小さく唸っているお腹を叩きながら、
食堂へと向かっていった。



「さ〜てと・・・・いくら親子で融合したからと言っても、
 やっぱり悟飯とは少し違うからな・・・。面倒なことにならないように、
知り合いに会わない様にしないと・・・・。」

恐る恐る、入り口から食堂の中を覗いてみる。
しかし、悟飯の心配とは裏腹に、昼休みに入ってから結構経っている為、
生徒の数も疎らであった。

(ラッキ〜〜〜〜!これなら問題ないな!)

軽くステップを踏みながら、食券を買い、そしてオバチャンに渡す。
悟飯は実にスムーズに念願の牛丼を手に入れることが出来た。

「うは〜〜〜〜!これがあの牛丼か!この匂い!美味そうだぁ〜〜!!」

イスに座り、目の前の卵の乗った、まさに美味いという言葉をそのまま
牛丼にしたかのような牛丼に目を輝かせる悟飯。
しかし、この辺りは悟空丸だしである。

テーブルの上に置いてある箸の束の中から一膳の箸を取り、
そして、真ん中で綺麗にパキンと折る。

「へへへ・・・・・いっただっきま〜・・・・・・・・・」

まさに牛丼に箸をつけようとしたその時。

「あれ?悟飯くん??」

後ろから、聞き覚えのある声がしたのだった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

冷や汗を流しながら。その場で固まる悟飯。

「おい、どうしたんだよイレーザ。」

さらに後ろから、またまた聞き覚えのある声。

「ああ、シャプナー!悟飯くんったらこんな所にいたのよ!」

「もう!今まで何処行ってたのよ!もう食べちゃったわよ!」

さらにさらに、その後方から少しキツメの口調の女の子の声。

「み・・・・・みんな・・・・・・・・・・・」

ギギギっと、まるで機械の様に悟飯は首を傾けた。
すると予想は見事的中。
そこには手前から順に、イレーザ、シャプナー、ビーデルが
こっちを見ているのだった。

「ちょっと悟飯く〜ん!みんな待ってたんだからね!なのに
 なかなか来ないから先に食べちゃったわよ!・・・・・・・・あれ?」

(ギクッ!!)

イレーザが喋りながらこちらに近づいてくる。
しかし近づくにつれ、イレーザも微妙に悟飯がいつもの悟飯でないことに
気がついたらしい。

「・・・悟飯くん、だよね?その前髪、どうしたの?」

そう、フュージョンした悟飯は、いつもより、多く髪を前に出していた。

「え!?あ…コ、、コレ!?これは・・・そのですね!!
 えっと・・・そ、そう!なんか外で突風が吹ちまって!!
 乱れちゃったんですよ!ハ・・・ハハ!!」

箸を持っていない左手で前髪を押さえ、慌てて苦しい言い訳をする悟飯。

「そう?まあ、そのままでもカワイイわよ♪」

イレーザはどうやらあまり深くは考えずに、その言い訳に納得してくれたらしい。

「ん?なんだよ悟飯。着替えたのか?」

ほっと胸を撫で下ろす暇もなく、続いてシャプナーの質問が悟飯を襲う。

「あ・・・ああ!ちょっと訳ありで・・・・・・・・!」

流石にそう次々には言い訳を思いつく事が出来なかったらしく、
今度は、返す言葉もままならない。

「ふーん・・・・・それにしてももう秋だってのに腹出しちまって壊さないのか?
 ・・・・・・うわ!結構筋肉ついてるじゃねえか!」

「え!?う・・・そ、その!!そう!鍛えてるから腹壊さないんだぞ!」

滝の様に流れ出る汗。いつもの悟飯とは違った口調になってしまう。
しかしそれでも悟飯は必死に誤魔化そうとした。



そしてどうにかその場をしのぎきった悟飯。

「じゃぁ先行ってるわよ!悟飯君も早く行った方がいいわよ、
もうすぐ授業始まっちゃうから!」」

「あ、ああ…。…ええっっ!!??」

イレーザの言葉に一瞬は納得したものの、よくよく考えてみると
重要なことを忘れていたことに気づいた。
そう…時間である。
悟飯は冷や汗を流しながら壁にかかっている時計に目を向けた。

(12時…50分…。確か昼休みは45分だったはず…
 フュージョンしたのは15分前…・・・・・んあ!?)

混乱する中、やっとのことで計算を終えた。

(授業までくいこんじゃうじゃないか!!)

 机を叩きイスを倒しながら、立ちあがる悟飯。
その様子に、食堂のオバチャンもビックリ。
そう、悟空の遅刻もあり、その後も名前のことでもめている間に
だいぶ時間がたってしまったのだ。

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