秋だから
    腹もめげすに
          せつない系(終)

「・・・・怪しい…」  

そうつぶやいたのは悟飯の隣に座っていたビーデル。
今まで、なにも悟飯に話しかけてこなかったのは、
やはりいつもの悟飯と違うのに気がつき、様子を見ていたからだったようだ。
しかし、今の悟飯の言動によって、その疑いは更に深まったらしい。  

(どうもおかしいわ…。悟飯くんだけど悟飯くんじゃないもの…。どういうことなのかしら??)  

(そうそう…忘れてた。確かフュージョンした後ってフュ―ジョン中の
 記憶が無いんだったよな〜。確かゴテンクスのときもそうだったって言ってたし…。)  

(あの服…どこかで見たことあるのよね。どこだったかしら?)  

(これじゃフュージョンした意味ないじゃんか〜。ま、いっか。
 とりあえずメモでも残して、フュージョン解けた後見れば、
 分かってくれるよな。一回食ってるんだし…。)  

そんな双方の思いが交互に飛び交う。
まだ悟飯はビーデルの視線には気づいていないようだ。  

(…それにさっきイレーザが言ってたけど、悟飯君あんなに前髪ないし…。
 乱れたって言ってたけど、今日そんなに風強くないのよね…。)  

(よし、え〜と、紙紙!!)  

悟飯は周りをあさり、紙切れを探し始めた。 
ちょうどいいものが無かったのか、ノートの後ろのページを破り
シャーペンをカチカチ唸らせた。  

(え〜と、、なんて書こうかな〜?そういやすぐ食っちまって味なんて覚えてないぞ〜?)  

頬杖をつきながら必死にさっきの牛丼の味を思い返してみる。  

(聞いてみようかしら…?)  

(そうだな…とりあえず…)  

悟飯は紙になにやら単語を並べ始めた。
その紙には…   『まったり』やら『こくがある』やら『たれが上手い!』やら『量が少なめ』
などなど誉め言葉なのかよく分からない単語ばかりが並びたてられていた。  

(い、行くのよ,ビーデル!!ここで行かずして誰が行くっていうの!?)  

今,ビーデルの中では激しい葛藤が繰り広げられていた。

と、その時、悟飯はふと教室の時計に目を渡らせた。
すると、もう時計の短針は、フュージョンが解ける時間の1メモリ前まで来てしまっていた。  

(あああああああ!!!!ヤバイ!!もう時間が無いぞ!トイレ、トイレ〜〜)  

そう思い、挙手をして立ち上がろうとしたその時、  

「ねぇ、悟飯くん!」      

ぎくぅぅっっ!!!      

「あ…ああ。。ビ、ビーデルって子じゃないですか!」  

「え…??」  

タメ口と、丁寧語の混ざったその言葉に驚き
また自分の呼ばれ方に目を丸くするビーデル。
どうやら悟空の知識が強めに出てしまったらしい。  

(ヤ、ヤダ…もしかして…姿格好が変になっただけじゃなく頭もどっかにぶつけちゃったの!?)  

「ああ・・じゃなくて!どうしたんだ?」  

「・・・・・悟飯君…今日変よ?」    

ぎくぅぅっっ!!!  

(す、鋭いな…。ビーデルさんも..…え?『も』ってどういうこと!?他にも誰かいたっけ?)  

一人漫才でもしてんのか、という感じの悟飯。
なんたってフュージョン!色々複雑なのよ。  

同じ頃、パオズ山ではチチのくしゃみが響き渡っていた。  

「あ、え〜と…それはですね…なんというか…。。。」

とにかく早くここを立ち去りたい。
しかしビーデルの心配気に自分を見つめる視線が悟飯をその場に固めてしまう。  

(だ・・・だめだ!このままじゃ!)  

頭を左右にブンブンふり、決意(?)をかためる悟飯。  

(ビーデルさんには悪いけど!もう時間がない!このまま教室を出るぞ!)  

もう挙手をして教室を出ていく余裕もなく、悟飯が席を立ち、階段を下ろうとしたその時、
       

ボンッッ!!!!!!!!!      

「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・」  

「・・・あ・・・・・・・・・・・・・・」  

突然の閃光と煙に、クラス中が静まる。  
そう、なんと二人のフュージョンが解けてしまったのだ!!
悟空と悟飯はその場で分裂し、悟空が前につんのめる感じで床に転がり込んだ。
イキナリ一人の人間が二人に分かれてしまったことに
クラス中の人間は目を見開いて驚いている。
あるものは自分の頬をつねり、あるものは隣の人の頭を殴って痛いかどうかを確認している。  

「・・・ご、悟飯・・・くん?」  

ビーデルもフュージョンのことは知っているものの、さすがに驚きを隠せない。
   

教室にしばらくの沈黙。          

 

「…お、おっす、オラ悟空!!!」  

その場の雰囲気に耐え兼ね、悟空が引きつった笑いで定番の挨拶をする。  
 

シ〜〜〜〜〜〜〜〜ン………  

さらに静まり返った教室。    

・・・・・・・三者面談、怖いね。  

覚悟しときなよ、チチ。

 

        牛丼に

        振回されり 

           我が心 

              憂きに絶えぬは   

                   涙なりけり   (悟飯、心の俳句)    

 

 

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