| びゅーてぃふるらいふ (3)〜ビーデルど根性物語〜
***************************************************
「・・・・・・・・え〜・・・・・・・であるからして・・・・・・・。」
結局、ビーデルは勉強会のことを悟飯に言い出せないまま授業を受けていた。
(・・・・・あ〜あ、ホントどうしよう。いつ言い出そうかしら。
やっぱり二人っきりじゃないとダメよね。じゃないとまた
朝みたいな展開になっちゃうかもしれないし・・・・・。)
別に読んでいるわけではないが、教科書を見つめながら
ビーデルは悟飯を勉強会に誘う為の手立てを考えていた。
もちろん授業なんか全然聞いてはいない。
講師の先生の声はビーデルにとっては只の雑音にしか聞こえていなかった。
(悟飯君は、女の子からの誘いとか受けた事あるのかしら?
・・・・・・・・う〜ん・・・・・でも今朝の反応から言って
なさそうだし・・・・・。)
そう思いながらチラッっと横目で隣の悟飯に目を移してみる。
悟飯はせっせと黒板の文字をノートに書き写し、また、更に
問題集を違うノートに解いていた。
(やっぱ悟飯君ってスゴイわね。・・・・・・ああ、それにしても
眠くなってきたわ・・・・・。昨日は全然寝られなかったしなあ・・・。)
ちょっとまどろんできた目を擦りながら、それでもビーデルは考えを
巡らそうとしていた。
(・・・・そうよ・・・もっと自然に語りかければいいんじゃないの??)
右手に持っていたボールペンの後ろを額にあててカチカチ言わせながら
眠気を覚まそうする。
(今朝は、私が意気込んで何かを言おうとしたから悟飯君も誤解
しちゃったのかもしれないし・・・・・・)
次第に眠気が増して行き、とうとうビーデルは船を漕ぎ出してしまった。
(じゃあこの次の休み時間にでも・・・・・・・・・。)
ゴンッッッ!!!!
「・・・!!」
ビーデルは一気に目がさめた。大きく船をこいだ時に、
額に当てていたボールペンをちょうど教科書と自分の額との間に
はさむ様にして前に倒れこんでしまったのだ。
(ふええ・・・・おでこが痛い・・・・って!!
そんな事より、今のハズカシイシーン、誰も見てないわよね!?)
前・後・右・・・・さり気無く見渡す。しかし、誰とも視線は合わなかった。
どうやら誰にも見られていなかったらしい。
(よかった・・・・誰にも見られてなかったみたいね・・・。)
思わず安堵のため息をもらし、そして今度は左に目を渡らせた。
・・・・次の瞬間、ビーデルは石になった。
呆気に取られた顔をして、悟飯がこちらを見て固まっていたのである。
キーンコーンカーン・・・・・・・
終業のチャイムがオレンジスターハイスクールに鳴り響く。
生徒たちはイスをガタガタと言わせながら立ちあがり、
それぞれの休み時間を送ろうとしていた。
そして、授業中に失態を悟飯に見られたビーデルは
恥ずかしさのあまり、授業の残り時間は、すっかり石となって
ただただ固まっていた。そして今もその状態である。
(あ〜〜もうどうしよう!!これじゃあ恥ずかしくて悟飯君に
顔も合わせられないわ!!)
しかし、そんなビーデルの思いとは裏腹に、横に座っていた
悟飯が声をかけてきた。
「ビーデルさん。ああゆうことは危険だからやらない方が・・・・・・・。」
「・・・・・・う・・・うん・・・・・。」
ビーデルは顔を真っ赤にし、体を小さくして頷いた。
「ところでビーデルさん。
どこか今日の授業で分からないところがあるんですか?」
「え?」
脈絡のない話を悟飯がもちだしたので、ビーデルは思わず顔を上げた。
どうやら、悟飯はビーデルの居眠りのことについては
あまり気にしていないらしい。
(でも、なに??なんでいきなり??)
「どうして??」
「いや、なんかビーデルさん、授業中ずっと教科書も同じページだけ
見てたから、どこか分からないとこがあったのかなあ、と思って・・・・。」
教科書やノートを机上で整えながら、悟飯の顔はビーデルの方を向いている。
対してビーデルはまだ机の上は散乱したままだ。
(あ、考え事してた時の事か。)
ビーデルは机の上を、ようやく片付けながら、悟飯の問いに答えようととした。
「ああ・・・・それはね・・・・・・・・・!!!・・・・・・」
整えるために持っていた教科書類を手から落としてしまった。
なにやら閃いたらしい。
(・・・・もしかして・・・・
これは勉強会に誘う丁度イイチャンスなんじゃ・・・・・・!?)
「??・・・・・ビーデルさん??」
「・・・そう!!そうなのよ!!全然分からなくてさ!!
もうホント困ってるのよね!!」
「え?そうなんですか?じゃあ宜しかったら僕が教えましょうか??」
「ホント??わあ、助かっちゃう!」
自然に話しかけようとはしているのだが、どうも芝居臭くなってしまう
ビーデル。しかし相手は悟飯。ナンの不審感も抱いていない。
「えっと・・・・何処が分からないんですか??」
(エ!?今じゃ意味無いわ!!)
パラパラと教科書をめくり始める悟飯をビーデルは必死に止めようとした。
「あ!でも悟飯君!!今だと次の授業の準備が送れちゃうわ!」
「じゃあ、昼休みにします??」
(今よビーデル!!悟飯君を誘うのよ!!)
「あ・・あのね!!じゃあ今週の日曜なんてどう!?」
意を決し、遂にビーデルは悟飯を誘うことに成功した。
(ここでは『誘う』という行為をした、ということだが・・・・)
しかし悟飯は少し戸惑った顔をしている。
(え?え?私と休日にまで会うのはイヤだってこと・・・・!?)
ビーデルの心に不安が募る。Tシャツの裾をつかんだりして
その思いが顔に出ない様に努力していた。
そしてやっと悟飯の口が開いた。
「困ったなあ・・・・・来週までに『宗教的結末論』のレポート
出さなくちゃいけないんだ。来週じゃダメかな??」
ガクッっとビーデルはバランスを崩した。自分が思っていたような事で
悟飯は困惑していたわけではなかったのだ。その悟飯の言葉に安心した
のだろう。ビーデルは崩れた教科書等を揃えなおした。
「来週じゃますます授業におくれちゃうわ!!それにレポートだって
土曜にやればイイじゃない!!」
ビーデルはもうすでに半ばヤケになっていた。なにがなんでも悟飯を誘おうと。
そんなビーデルの迫力に悟飯は押され、首を縦に振ってしまった。
「は・・・はい!!」
「じゃ、日曜に勉強会ね。」
そう言ってビーデルは自分のロッカーに向かって行った。
(ちょっと強引すぎたかしら・・・・??でも、悟飯君にはあれ位強引じゃないと
いつまでたっても進展しないものね。・・・・・それにしても、レポートの
『宗教的結末論』ってナンの事かしら・・・・。)
そんなくだらないことを思いながら、その日のビーデルの顔が
ゆるみっぱなしだったことは言うまでもない。
前へ 次へ
***************************************************
NOVELROOMへ
HOMEへ
|