MERRY COUPLE(2)

「う・・・・・・・・・ん・・・・・・・・・」

朝の光がカーテンから差込み、チチの顔を照らす。
閉じていた瞼の裏が明るくなり、チチは朝が来たことを感じ取る。

(なんだ・・・・・・もう朝だベか・・・・・・・・・・・)

ムクリと体を起こし、腕を上に伸ばし欠伸をする。
しばらくまどろみの中、ボーッとしていたチチだが、朝御飯の支度をすべく、
ベットから起きようとした。
しかし、その瞬間、背中を僅かに痛みが走る。

(・・・・?なんだべ?寝違えちまったのかな・・・・・・・・・・・・・・)

そんなに気にするほどの痛みではなかったため、チチはそのまま立ちあがり寝室を出ていった。
が、寝室を出て2・3歩歩いたところで足が止まる。

(・・・・寝違え?・・・そういえばオラいつの間に寝たんだベ・・・・・・・・・)

顎に手を当て、立ったままで考える人のポーズを取るチチ。

(え〜と・・・・昨夜は何してたんだっけかな・・・・・・?・・・・・・そうだ!たしか屋根で物音がしたから
 見に行ってみると悟空さがいたんだべ!それで悟空さがなにか食ってたから怒って・・・攻め寄って・・・・・)

突然、手をポンと叩く。

(そうだべ!オラ達、屋根から落ちちまったんだ!・・・・・それでオラ気を失ったんだか?
 じゃあ、悟空さか悟飯ちゃんがベットに運んでくれたんだべかな・・・・・・・?)

少々疑問は残るものの、少し頭の中で整理がついたらしく、チチは洗面所へと向かっていった。

 

「あ、おはようございます!」

途中で、チチよりも先に起きたらしい悟飯に会う。
しかしまだ悟飯もパジャマ姿だ。

「お!悟飯ちゃん今日は早いな〜〜〜!」

「そうですか?いつも通りですけど・・・・・・・」

「あ、じゃあオラが寝坊しちまったんだべか?ゴメンな〜」

そのままチチは洗面所へと向かおうとしたが、ふと、悟飯に昨日の事を聞いてみようと思い、
自分の部屋へ戻ろうとする悟飯を呼びとめた。

「あ!!なあ悟飯ちゃん!!」

「・・・・?はい?」

「昨日、気を失っちまったオラを運んでくれたのは悟飯ちゃんけ?」

「あ、はい。外で大きな音がしたんで出てみたら、お父さんとお母さんが気を失ってたので。
 何度か起こそうとしたんですけど、起きそうになかったのでそのままベットに・・・・・・・」

「そうけ!ありがとな〜悟飯ちゃん!・・・・・・・は!そういやオラ洗面所のタオル
 寝室に置きっぱなしだべ!ドジだな〜オラは!」

ようやく頭の中で色々な事が繋がり、チチは足取り軽く洗面所へと向かおうとしたチチであったが
寝室にタオルを置き忘れていたことを思いだし、もう一度来た道を引き返していった。

そして廊下にはそんなチチの後ろ姿を不思議そうに見つめる悟飯が残された。

「・・・・・・・・『悟飯ちゃん』?」

 

「いや〜!まいっちまうなあ!寝坊した上にタオルも忘れちまうなんて!朝御飯はやく作らねえと・・・・・・!!」

タンスの引出しの中からタオルを取り出そうとするチチ。
一番下の引出しのため、その場にしゃがみ込む。そして、目的のタオルを見つけ、引出しをしまいかける。

「!あ〜ったあった!!・・・・・・・・・・!!!!」

ガツン!!!

チチの後頭部に何かが勢いよく当る。思わずタオルを離し、頭を押さえ蹲る。

「った〜〜〜〜!!!・・・・なんだべ!!もう!!」

後ろを振り返るとタオルケットからはみ出た足の裏。
足の裏、ということもあってチチも必要以上に怒っている。

(なんだべ!!悟空さったら!オラはこれから朝御飯作るってのにまだ寝てるだべか!)

普段なら、チチが食事の支度をしている間に悟空が起きてくる、というにが定番なのだが、
今のチチは頭を蹴られ、未だに寝ている夫に対して、少々腹を立てている。

(・・・・・・・もう!!)

「悟空さ!!!!起きろ!悟空さ!!!!!」

チチは未だに寝ている夫のタオルケットをバサッと勢い良く剥ぎ取り、
そのタオルケットを畳み掛けた・・・・・・・・・・その瞬間、

「!!!!!!??????」

チチが凍りつく。手に持っていたタオルケットを落とし、そのまま固まる。

(・・・・・な・・・・なんでオラが・・・・・・・・!!!????)

チチがタオルケットを剥ぎ取ったベットの上、そこにはなぜか”チチ”が居た。

(オ・・・・・・・オラが二人・・・・・・・・!?)

 

「・・・・・・む〜・・・・・・・・・・・・・・・・」

ベットの上の”チチ”が寝返りを打つ。
”自分”が、自分の意志とは関係なく動いている、そのことに、チチは怖くなり、その場にへたりこんだ。

(・・・・・・・ど・・・・・・どういうことだべ・・・・・・・・。は!そういや悟空さはどこ行ったんだべ!?)

あたりを見回すが、寝室には自分と、もう一人の”自分”。
悟空は見つからない。

(こんな時にどこさ行ってんだべ・・・・・・!)

このまま、この異様な雰囲気の部屋に居る事に耐え兼ねたこともあり、チチは悟空を探すべく、なんとか身を起こし
寝室のドアの方へと駆けて行った。

そしてドアのところに差掛かった瞬間、チチは視界の左の方に山吹色の物がよぎったことに気がついた。

(ご・・・・・悟空さ?・・変だなあ・・・・さっき見渡した時は誰も居なかったと思ったんだけどもな・・・・)

勢いで一度寝室の外に出たチチであったが、その山吹色のものを確認するため、もう一度寝室へと入っていく。

「悟空さ?」

入って、右の方を見てみる。するとそこには山吹色の胴着を着た悟空がいた。

「な・・・・なんだべ、悟空さそんなところに・・・・・・・・」

ホッと安心し、悟空に語りかけようとしたチチであったが、異変に気付きその口が途中で止まる。
向こうの悟空もチチと同じ動きをしているのだ。

(!!!!!!!!)

チチはそれが鏡であることに気付いた。寝室の入り口近くにおいてある、形だけのドレッサーの鏡。

(・・・か・・・・鏡・・・・・?じゃ・・・・じゃあ・・・・どうして悟空さが写ってるんだべ・・・・・・・・?)

しばらく、混乱し、その場に固まっていたチチであったが、恐る恐る自分の体を見てみる。
・・・・・・手・・・・・そして足・・・・・・・

(お・・・オラの手・・・・・こんなに大きかったべか・・・・・・?
 それにオラ・・・・・どうして悟空さの胴着なんか着てるんだベ・・・・・・・・・・・)

瞬間、チチの頭に、一つの考えが過った。

(も・・・・・・もしかして・・・・・・・・オラ・・・・オラ・・・・・悟空さの体にはいっちまったんだべか・・・・・・!?)

もう一度鏡をマジマジと覗き込む。
そして、頬を思いっきり引っ張ってみる。・・・・・・・・痛い・・・・・。

 

「うっぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

チチの絶叫が、朝のパオズ山を駆け巡った。

 

 

 

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