phantasmagoria 〜それは道標〜() 

しばらく、悟空は無言のままチチを抱きしめていた。
チチの泣き声を堪える音が、部屋の中に響いている。

どのくらいの時間が経ったのか定かではないが、チチが少し落ちつくと
悟空が口が開いた。

「・・・・・・・今までの闘いで、仲間が死んでしまったこともあった。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「でもそれはどれも闘わなくてはいけない闘いで・・・・・・・・・・
 だから、オラも二度とこんなことが起こらねぇようにって・・・・・・・
 どんな事が起きても大丈夫なようにって・・・・強くなろうって思ってきたんだ・・・・。」

静かな声で話していた悟空だったが、段々と声が強まっていく。

「でも・・・・・今度は・・・・・今度の闘いは・・・・・・・・・!!!
 なにも悟飯一人で戦わなくてもよかった闘いなんだ・・・・・・・・・!!
 わざわざセルの言う事を聞いて・・・・・・悟飯一人に闘わせて・・・・・・・・!!!
 しかも悟飯とは何の相談もしないで・・・・・・・・・・・・・!」

チチを抱く腕に力が入る。

「・・・・・・ピッコロに言われた時に・・・オラは悟飯のこと、何もわかってやってなかったって実感したよ・・・・・
 悟飯のことを・・・オラの物差しで計っちまって・・・・・・・・・それで結果がこれだ・・・・・・・・・・・・・・
 悟飯も最後の最後で・・・・・セルを倒してくれたけど・・・・・・・・・・・その時にはもう・・・・・悟飯の命は消えかかってて・・・・・・・・」

「・・・・・悟空さ・・・・・・・・」

「・・・なんでもっと早く気付いてやれなかったんだろう・・・・・・・・なんでもっと早く助けに行く事ができなかったんだろうって・・・・
 悔やんでも・・・・・悔やんでも・・・・・悔やみきれなくて・・・・・・・・・・。」

悟空はその後の言葉は続けなかった。
悟空の肩が震える。

「・・・・・・・・・悟・・・・空・・・・・さ・・・・・?」

少し体を離し、悟空の顔を見てみる。
すると、悟空は目を涙で溢れさせていた。下を向いていたので、その溢れ出た涙は
悟空の鼻や唇から下へと落ちていった。

「悟空さ・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

チチもそんな悟空を見、再びその赤くなった目から大きな雫を、ボロボロと流す。
そして今度はチチの方から悟空を抱きしめ、静まる部屋の中、二人が泣き止む事はなかった

 

 

『・・・・・・・・・・・・。』

悟飯はしばし、悟空とチチを見つめていたが、なんだか見ていることやり切れなくなり、
そのまま俯いてしまった。

『・・・・・・・・だれか大切な人を失うって・・・・・とても辛いことでしょう?
 確かに・・・・あなた達には死んでしまった人を蘇らせる術があるかもしれない・・・・。
 でも死は・・・・・・・そんな軽いものじゃないはずよ。』

しばらく何も言わなかった少女だが、俯いた悟飯を見て、問いかける。

『よく、大切な人を失ってしまった人が《自分が死ねばよかった》って言う事があるけど・・・・・・・・・
 それはその大切な人に、今自分の感じている辛さを押し付けようとしていることにしかならないのよ。』

『・・・・・・・・・・・・・・・・・』

『・・・・・・・・本当にその人が大切なら・・・・・・・自分が死ねば良かったなんて思わないで・・・・・・・・』

 

再び、周りの空間が真っ暗になる。

 

『よく考えて・・・・・・・あなたはさっきの自分の父親と母親が
 自分が死んでしまった事で嘆いている姿を見てどう感じたのかを・・・・。
 それと同じ気持ちをあなたの父親にさせたいのなら・・・・私はもう何も言わない・・・・・・・。
 でもね、あなたはもう、自分がどうしたらいいか、わかってるはずよ。』

俯いていた顔を上げ、少女を見つめる。
少女の目が、今までになく、優しく見える。

すると、悟飯は自分の頬に、なにか暖かいものを感じた。

『・・・・・・・・・?』

不思議に思い、頬を手でさすって見る。すると、指の先には雫がついていた。

(・・・・涙?)

ふと、少女の方を見てみる。少女は悟飯と目が合うと、はじめての笑顔を見せた。

『おかしな人ね。涙が流れるのは自然なこと。そんな不思議な顔をしないでよ』

『でも・・・・・突然だったから・・・・・・・・』

『大丈夫。それはもう、あなたがどうしたらいいかわかっているという証拠だから』

再び笑顔を見せる少女。
すると、悟飯は少女の存在が朧気なっている事に気がついた。

『・・・・・・・・・・・・・!!どうしたんですか・・・・・・!?』

『どうやらそろそろ時間がきちゃったのかな?』

『時間?』

そう言っている間にも少女はドンドン薄れていく。

(まだ・・・僕は彼女のことを何も聞いていない・・・・・)

突然、悟飯の心に焦燥の念が走る。

『ま・・・・また・・・・・・・・会えますか・・・・・・・?』

『・・・・・・目がさめたら・・・・この事はきっと私もあなたも忘れてしまうわ。・・・・・・でも、あなたとならきっと、
 何処かで会えるわ。』

既に少女の体は、殆ど消えかかっている。悟飯は慌てて少女の傍に駆け寄りながら呼びかけた。

『待って!!君の名前は!?』

『―――――――』

何か少女が口を動かしているが、もう何を言っているか聞き取る事はできなかった。

そして、少女は消えていった。

『・・・・・・・・・・・・・・ありがとう。』

今まで少女が居た場所を見つめ、一人となった空間で少女に話しかける用に呟いた。

 

 

 

 

「悟飯ちゃ〜〜ん!!朝だべ〜〜〜!!」

「・・・・う・・・・・・ん・・・・」

いつも通りの母の呼び声が聞こえる。
チチは部屋に入り、窓の方へ向かい、カーテンを捲った。朝の日差しが、悟飯の部屋へと入り込む。

「今日はイイ天気だべ!!なあ、悟飯ちゃん!」

外を眺めながら笑顔のチチ。
しかし悟飯からの返事がないので悟飯の方を振り向く。
すると、悟飯は遠くを見つめるような目で、真っ直ぐ正面を見つめていた。

「どうかしたのけ?悟飯ちゃん?」

チチは悟飯のベットに腰をかけ、心配そうに、悟飯を覗きこんだ。
しばらく間をおいて、悟飯が答える。

「・・・・・・・・・なにか・・とても大切な夢を見ました。」

「夢?そんな夢だべ?」

「・・・・・・・・・・わからないんです。でも・・・・・とても大切な・・・・・・・」

「?」

チチはなんだか良くわからないといった顔をしたが、悟飯の頭を抱えるように抱きしめた。

「そうけ。悪い夢さ見なくてよかっただな。思い出したらお母さんにも教えてけろ?」

「・・・・・・・はい・・・・・・。」

突然、チチが何か思い出した様に手をポンと叩く。

「あ!!すっかりわすれてたべ!!悟飯ちゃん!!ピッコロさんが来ているだと!」

「え?ピッコロさんが!?今待たせてるんですか!?」

「ゴメンな〜〜!それで起こしにきたんだったべ!」

悟飯は慌てて身支度をし、急いで居間の方へと走って行く。
ピッコロは、チチに用意された水を飲みながら、居間のイスに腰をかけていた。

「ピッコロさん!!スミマセン!!お待たせしちゃって・・・・!!」

「あ・・・いや、オレも早く来てしまったからな。」

 

そして悟飯とピッコロは家をでて、周りの草原を散策しながら話すことにした。

「すまんな、朝早くから来てしまって・・・・・・。」

「そんな!いいですよ!僕ピッコロさんと話すの大好きです!」

「・・・・そうか・・・・・。」

しばらくブラブラとしながら歩いていたが、木陰を見つけ、腰をかける。
取り留めのない話をし、穏やかな時間が流れる。

優しい風が、悟飯の頬をなでていく。

「ねえ、ピッコロさん。」

「・・・・・なんだ?」

悟飯がピッコロの顔を笑顔で見つめている。

(・・・・・まだ・・・・この笑顔のままか・・・・・・・・。)

前と同じ、演技のような笑顔がピッコロへと向けられていた。
ピッコロも、やり切れない思いに駆られる。
しかし、そう思うのも次の瞬間までだった。

「・・・・ピッコロさん・・・・・・泣いてもいいですか・・・・・?」

「・・・・・・・・・なぜ・・・・泣いてはいかんのだ?」

その言葉のあと、悟飯の”笑顔”は見る見る内に崩れ、
目からは涙が一つ、二つ、と流れ、その後から後から次の雫が滴り落ちる。
そしてピッコロにしがみ付いた。


悟飯は泣いた。大声をだして。
セルとの闘いのあとの初めての涙。


   ――――――――――素直になれたら、もう大丈夫。


その時、悟飯はどこかから、少女の声が聞こえた様に思えた。

 

そして悟飯はその日以来、徐々にではあるが、以前の明るさを取り戻していった。
時々、涙を流す事もあったが、チチが懐妊したことがわかると、
以前よりも明るく、力強くなっていった。

 

 

 

そして月日は流れ、
悟飯は再びあの時の少女に出会う事になる。

「ねえ!」

「!!」

「あれ、誰がやったの?まさか警察じゃないわよね」

「あ・・・・さ・・・・・さあ・・・・・・みてなかったから・・・・・・・・」

しかし二人はしらない。
すでにお互いが出会っていた事を。

 

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うひ〜〜〜!!ようやく終わらせました〜〜〜!!
しっかし、欠点だらけの小説となってしまいました(^^;
修行の旅に出なければ・・・・・!!
こんな穴だらけな小説に、最後までお付き合いいただいて有難う御座いました。
「なんやねんこの話!!」と思う方、大勢いらっしゃるでしょう。
穴があったら入りたいです!!
大体、どうしてビーデルが出てきているのだか・・・・・・
まあ、悟飯の夢(?)だし?いっか〜〜って軽いノリでしてしまったのですが・・・・
トホホ・・・・・・
修行の旅に行ってまいりま〜す・・・・
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