| phantasmagoria 〜それは道標〜(終) |
しばらく、悟空は無言のままチチを抱きしめていた。 どのくらいの時間が経ったのか定かではないが、チチが少し落ちつくと 「・・・・・・・今までの闘いで、仲間が死んでしまったこともあった。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 「でもそれはどれも闘わなくてはいけない闘いで・・・・・・・・・・ 静かな声で話していた悟空だったが、段々と声が強まっていく。 「でも・・・・・今度は・・・・・今度の闘いは・・・・・・・・・!!! チチを抱く腕に力が入る。 「・・・・・・ピッコロに言われた時に・・・オラは悟飯のこと、何もわかってやってなかったって実感したよ・・・・・ 「・・・・・悟空さ・・・・・・・・」 「・・・なんでもっと早く気付いてやれなかったんだろう・・・・・・・・なんでもっと早く助けに行く事ができなかったんだろうって・・・・ 悟空はその後の言葉は続けなかった。 「・・・・・・・・・悟・・・・空・・・・・さ・・・・・?」 少し体を離し、悟空の顔を見てみる。 「悟空さ・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・。」 チチもそんな悟空を見、再びその赤くなった目から大きな雫を、ボロボロと流す。
『・・・・・・・・・・・・。』 悟飯はしばし、悟空とチチを見つめていたが、なんだか見ていることやり切れなくなり、 『・・・・・・・・だれか大切な人を失うって・・・・・とても辛いことでしょう? しばらく何も言わなかった少女だが、俯いた悟飯を見て、問いかける。 『よく、大切な人を失ってしまった人が《自分が死ねばよかった》って言う事があるけど・・・・・・・・・ 『・・・・・・・・・・・・・・・・・』 『・・・・・・・・本当にその人が大切なら・・・・・・・自分が死ねば良かったなんて思わないで・・・・・・・・』
再び、周りの空間が真っ暗になる。
『よく考えて・・・・・・・あなたはさっきの自分の父親と母親が 俯いていた顔を上げ、少女を見つめる。 すると、悟飯は自分の頬に、なにか暖かいものを感じた。 『・・・・・・・・・?』 不思議に思い、頬を手でさすって見る。すると、指の先には雫がついていた。 (・・・・涙?) ふと、少女の方を見てみる。少女は悟飯と目が合うと、はじめての笑顔を見せた。 『おかしな人ね。涙が流れるのは自然なこと。そんな不思議な顔をしないでよ』 『でも・・・・・突然だったから・・・・・・・・』 『大丈夫。それはもう、あなたがどうしたらいいかわかっているという証拠だから』 再び笑顔を見せる少女。 『・・・・・・・・・・・・・!!どうしたんですか・・・・・・!?』 『どうやらそろそろ時間がきちゃったのかな?』 『時間?』 そう言っている間にも少女はドンドン薄れていく。 (まだ・・・僕は彼女のことを何も聞いていない・・・・・) 突然、悟飯の心に焦燥の念が走る。 『ま・・・・また・・・・・・・・会えますか・・・・・・・?』 『・・・・・・目がさめたら・・・・この事はきっと私もあなたも忘れてしまうわ。・・・・・・でも、あなたとならきっと、 既に少女の体は、殆ど消えかかっている。悟飯は慌てて少女の傍に駆け寄りながら呼びかけた。 『待って!!君の名前は!?』 『―――――――』 何か少女が口を動かしているが、もう何を言っているか聞き取る事はできなかった。 そして、少女は消えていった。 『・・・・・・・・・・・・・・ありがとう。』 今まで少女が居た場所を見つめ、一人となった空間で少女に話しかける用に呟いた。
「悟飯ちゃ〜〜ん!!朝だべ〜〜〜!!」 「・・・・う・・・・・・ん・・・・」 いつも通りの母の呼び声が聞こえる。 「今日はイイ天気だべ!!なあ、悟飯ちゃん!」 外を眺めながら笑顔のチチ。 「どうかしたのけ?悟飯ちゃん?」 チチは悟飯のベットに腰をかけ、心配そうに、悟飯を覗きこんだ。 「・・・・・・・・・なにか・・とても大切な夢を見ました。」 「夢?そんな夢だべ?」 「・・・・・・・・・・わからないんです。でも・・・・・とても大切な・・・・・・・」 「?」 チチはなんだか良くわからないといった顔をしたが、悟飯の頭を抱えるように抱きしめた。 「そうけ。悪い夢さ見なくてよかっただな。思い出したらお母さんにも教えてけろ?」 「・・・・・・・はい・・・・・・。」 突然、チチが何か思い出した様に手をポンと叩く。 「あ!!すっかりわすれてたべ!!悟飯ちゃん!!ピッコロさんが来ているだと!」 「え?ピッコロさんが!?今待たせてるんですか!?」 「ゴメンな〜〜!それで起こしにきたんだったべ!」 悟飯は慌てて身支度をし、急いで居間の方へと走って行く。 「ピッコロさん!!スミマセン!!お待たせしちゃって・・・・!!」 「あ・・・いや、オレも早く来てしまったからな。」
そして悟飯とピッコロは家をでて、周りの草原を散策しながら話すことにした。 「すまんな、朝早くから来てしまって・・・・・・。」 「そんな!いいですよ!僕ピッコロさんと話すの大好きです!」 「・・・・そうか・・・・・。」 しばらくブラブラとしながら歩いていたが、木陰を見つけ、腰をかける。 優しい風が、悟飯の頬をなでていく。 「ねえ、ピッコロさん。」 「・・・・・なんだ?」 悟飯がピッコロの顔を笑顔で見つめている。 (・・・・・まだ・・・・この笑顔のままか・・・・・・・・。) 前と同じ、演技のような笑顔がピッコロへと向けられていた。 「・・・・ピッコロさん・・・・・・泣いてもいいですか・・・・・?」 「・・・・・・・・・なぜ・・・・泣いてはいかんのだ?」 その言葉のあと、悟飯の”笑顔”は見る見る内に崩れ、
そして悟飯はその日以来、徐々にではあるが、以前の明るさを取り戻していった。
そして月日は流れ、 「ねえ!」 「!!」 「あれ、誰がやったの?まさか警察じゃないわよね」 「あ・・・・さ・・・・・さあ・・・・・・みてなかったから・・・・・・・・」 しかし二人はしらない。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ |