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うずらの卵  (終)

 

 

恐竜の一件が落着した後、ビーデル達は孫家で夕ご飯を済ましていた。  

「っかぁぁ!食った食った!」  

食卓の椅子をギシギシと鳴らせながら自分のお腹を叩く悟空。  

「おいしかった〜♪」  

悟天やトランクスもそれぞれ満足そうな台詞を発する。  
しかし…ビーデルとチチは食卓に並ぶ食器の量に圧倒されていた。
なんていってもサイヤ人4人もいるのだ。並みの量ではない。
さきほどから何度席を立ったことか。
サイヤ人4人の追加注文が後が絶たなかったのだ。
おかげでビーデルとチチは自分の食事をほとんど口に出来ないでいた。  

「もしかして…悟飯君たちのお腹ってブラックホールなんじゃないの?」  

ボソッと呟いたのはビーデル。
過去の悟飯たちの姿を振り返り、思わずそんな台詞が出てしまった。  

ビーデルが気を取り直してご飯を食べようしたその時…
何かがビーデルの視界に入ってきた。  

「月 ……?」  

暗い空に浮かぶひとつの月。
その周りには、月のカケラのような星たちが幾万と輝いていた。  

「いっけないっ!!!」  

ビーデルはハッと何かを思い出したように席を立った。  

「どうしたの?ビーデルの姉ちゃん。」  

「大変よ、もう帰らなくちゃ!!!」  

「ええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」  

悟天とトランクスの声が見事にハモった。  

「なんで〜なんでぇぇ〜!?もっと遊びたいよぉぉぉぉぉ!!」  

まさにだだっこ。
悟天とトランクスは床に転がり足をばたつかせ…までとはいかないが、
腕をぶんぶんと振り、反対した。  

「ダメよ!!もうこんなに遅いのよ!?あなた達の両親だって心配するでしょ!?それに悟飯くんだって………あ。」  

「え…?」  

思わずビーデルに反応してしまった悟天とトランクス。  

「あっ、そっかぁ!」  

トランクスがニヤリとして悟天に耳打ちした。  

「(ビーデルさん、単に向’こ’う’の悟飯さんに会いたいだけなんだぜ、きっと!)」  

「(そっかぁ♪なぁ〜んだ。)」  

「(しょうがない、協力してやろうぜ。)」  

「(うん!)」  

こうしてだっだこ二人はなんとかおさまった。  

そしてここに、別の単語に反応した人が約一名…  

「悟飯ちゃんがどうしただべ!?」  

やはり…この人でした。
チチが「悟飯」という単語にいち早く反応した。  

「え?悟飯くん…?」  

ビーデルはふと目の前にいる悟飯が目に入った。  

「??」  

きょとんとビーデルを見つめる悟飯。  

「あ、そっか。」  

どうやらビーデルは目の前にいる悟飯ではなく、向’こ’う’の悟飯のことを考えていたらしい。  

「で、悟飯ちゃんがどうしたんだべ!?」  

しつこいくらいに迫るチチ。  

「あ〜…いえ、、ご、悟飯くんだって疲れちゃったかな〜?って……」  

とっさにしてはなかなかの台詞である。
チチもその台詞にニコリと笑った。  

「そうだべな。今日は悟飯ちゃんも色々あったことだし、もうそろそろ寝かせねえと明日起きれなくなっちまう…」  

「あの…じゃぁもうそろそろ失礼します。」  

「そうだな、ホントは泊まってもらいてえくらいだけどな。」  

チチがフフッと笑ってみせた。
ビーデルもそれに答えるように微笑んだ。  

「じゃぁ、帰るわよ、二人とも!!」  

ビーデルは悟天たちの方に振り返った。  

「は〜〜い♪」  

二人も先ほどとは打って変わって元気よく返事をし、
ビーデルの後ろに足を弾ませて付いていった。  

「悟飯ちゃんも見送りするべ。」  

チチが悟飯の手を引っ張って外に連れ出した。          

孫家の前に立つ三人。
そしてそれと向かい合う三人。  

「ホントに今日は世話になったな。迷子の件といい、恐竜の件といい…」  

「いえ、当たり前の事をしたまでです…」  

「また遊びに来てけれ。悟飯ちゃんもすっかりビーデルさんたちになついちまったようだしな。」  

チチが横下にいる悟飯をなで、しばし見つめた。  

「はい、またきっと遊びにきます。」  

「また一緒に遊ぼうね!悟飯くん!」  

ハキハキと返事をする悟天とビーデル。  

「ほら、悟飯もお礼いわねえとダメだぞ?」  

悟空が腰を低くして、悟飯に向けていった。  

「………」  

「?どうした、悟飯ちゃん??」  

下を俯いたままの悟飯の顔をチチが覗き込む。  

「…うっ…うっ…」

「!!!!!」  

そこにいる誰もが一斉にして悟飯に目を向けた。  

「悟飯ちゃん…」  

「悟飯・・・・・・」  

悟飯は泣いていた。
目に一杯涙をためて…大粒の涙がこぼれんばかりに溢れたいた…  

「お兄ちゃんも・・・・・お姉ちゃんも・・・・・行っちゃ…ヤダァよ…」  

悟飯は目の前のビーデルの足にしがみついた。
一生懸命目をこすり、涙を止めようとするものの、
悟飯の目からは無意識にどんどん涙が溢れていく。  

「悟飯ちゃん、わがまま言うでねえ!!」  

チチがビーデルの足にしがみつく悟飯を離そうとするものの、
悟飯の手はビーデルの足にぴったりとくっつき、離れようとしない。  

「悟飯くん…」

 ビーデルは足元の悟飯の姿を見ると、ふわっと悟飯をもちあげた。
悟飯の手は、素直にビーデルの足から離れていき、ビーデルの胸元におさまった。  

「泣かないで、悟飯くん〜。」  

ポンポンと悟飯の背中を叩き、悟飯をあやす。  

「うわ〜〜ん…うっ…ひっく…」  

「また遊びくるから〜。」  

「そうそう!また遊べるから!な?だから泣いちゃダメだぜ?」  

尚も悟飯をあやしながら優しい言葉をかける。
そしてその横から、トランクスも悟飯の背中を背伸して叩き、悟飯を励ます。  

「ホント!?」  

パッと悟飯が顔を上げ、そしてビーデル、トランクス、悟天の顔を交互に見渡す。  

「うん、約束する。」  

「するする!」  

「男に二言はない!・・・・なんつってね!」  

ホッと安心したのか嬉しいのか、悟飯はまた顔をうずめて泣き始めてしまった。  

「おにぃちゃ・・・・・おねえちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん…う〜…っく…」  

「あ〜あ・・・ビーデルさん、また悟飯くん泣かしちゃったぁ!」  

「な〜んで私一人の責任なのよ〜!」  

トランクスの言葉に苦笑しながら、
自分になきつく悟飯を見て優しく見下ろすビーデル。  

「…また、会えるよ。…12年後にね。」  

ポツッと呟いた。
最後にまたポンポンと悟飯の背中を叩くと、
ゆっくりと自分の体から離し、悟飯をチチに渡した。  

「あ。」  

「え?」  

ビーデルの手がチチの手にそっと触れた時…チチが声をあげた。
思わずビーデルも反応する。
チチの目線は、悟飯を通り抜け…
どうやらビーデルに向けられているものだった。
チチの目線を追い、自分の姿を見直す。  

「あらららら・・・・・」  

先に、トランクスが声を上げる。  

「…あれ?……これって…」

間もなくビーデルも自分の洋服に何かついていることに気がついた。
なにか…液体のもの…?洋服が少し湿っていた。  

「…あ…あの…ゴメンンサイ…」  

その時、無事チチに渡された悟飯が恥ずかしそうに、下向き加減で謝った。  

 じゅるっ  

続いて鼻水をすする音がした。
悟飯の行動を察知し、やっと状況が把握できた人達。  

「…悟飯〜…鼻水垂らしたらいけねえだろ!?悪いな〜服汚しちまって・・・」  

チチが悟飯の鼻を拭き、そして悟空が頭をかきながら謝った。  

「(…なんか変な感じがするね、トランクスくん。)」  

「(そうだな。悟飯さんが鼻水垂らしてるなんて、違和感感じるよ。)」  

コソコソと話をする悟天とトランクス。
そしてその会話が聞こえたビーデルも、
今の悟飯と目の前の泣き虫悟飯を比べてついつい苦笑してしまう。  

   

「じゃあな!悟飯くん!おばさん、おじさん、お邪魔様でした!」  

「バイバイ!悟飯くん!また遊ぼうね〜!」  

フワリと宙に浮き、少しづつ上昇する悟天とトランクス。  

「おう!また悟飯と遊んでやってくれよ!」  

「また夕飯食べに来るだよ!」  

大きく手を振るチチと悟空。
そして、まだ地上に残っているビーデルは、悟飯の側へと向かい、
ポンと手を悟飯の頭に置いた。  

「じゃ、悟飯くん、また会おうね。」

目が合い、お互いにニコッと笑い合う。  

「・・・・・はい!」  

そして悟飯の笑顔を確かめると、ビーデルも先に行った二人の後を追い、空へと舞い上がっていった。

         ―――そして12年後、この3人が来たことによって世界の未来が変わってしまったとしてもきっと4人は出会えるだろう。

★まだ「おまけ」があるよ★

 

 

 

     
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