ベジータ、苦難の一日(5)

 

ベジータはしばらくは何もせず、ただおもちゃで遊ぶトランクスの横で足を組み、腕をソファーにかけて
座っていた。(ベジータにしては上出来だ)
するとそこへ、ブルマに言われてきたのか、ウーロンがやってきた。

「・・・・・・ブルマに言われてきたのか・・・・・・。」

「は、はいぃ!!」

やってきたはいいものの、ウーロンはスッカリベジータに怯えていて、
ドア付近で行き場なさげに立っている。居間に流れる沈黙の時間。
ただ、トランクスの遊んでいる声だけが響いていた。
しかし、しばらくしてベジータがその沈黙を破った。

「・・・・おい。きさまウーロンとかいったな。あのキャンディのことだが、ブルマの言った『ある言葉』とは
 なんの言葉だ?」

「あ、はい!『ピーピーキャンディ』との名前の通り、ブルマが『ピーピー』という言葉を言いますと
 お腹を壊してしまうんです」

「・・・ッチ!・・・・・くだらないキャンディを作りやがって・・・・」

そしてまたしばらくの沈黙が続く。ベジータはともかくとして、ウーロンにとってもとても耐え難い時間であった。

(くそ〜〜〜〜なんでオレがベジータなんかといなきゃいけないんだよ!!ブルマのやつ〜〜!!
 足が痛くなってきたぜ・・・・・・・)

ウーロンがそう愚痴を思った瞬間、また沈黙が破られた。しかし今度はトランクスの泣き声で。

「う・・・・うええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・・・・!!」

「!!??」

ベジータも突然の泣き声に驚き、ビクッと体を反応させた。

「な、なんだ!?」

「・・・・・えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

「ええい!?泣くな!!オマエも戦闘民族サイヤ人の血を引いているんだぞ!!」

「うええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「泣くなと言ってるんだ!!」

赤ん坊相手に怒鳴りつけるベジータ。そのせいでトランクスの泣き声はますます大きくなっていく。
それに見兼ねてウーロンが口を挟む。

「お、おい!!赤ん坊にそんな事言っても通じないぜ!?それより何で泣いてるかを考えないと!」

ウーロンも慌てて言葉を発したため、言葉使いが元に戻ってしまっていたが、ベジータもさして気にしている
様子もない。ホッと胸をなで下ろすウーロン。

「なんで泣いているかだと!?そんなことオレが知るか!」

なぜか開き直っているベジータ。その間にもトランクスの泣き声は続く。ウーロンもそれに耐え兼ね、
必死にトランクスの泣いてる理由を探す。

「・・・・・・・・・あ!!」

「?どうした!?」

時計をみて何か気付いたようなウーロンにベジータが問いかけた。

「もしかしたらだけど、こ、こいつお腹が空いてるんじゃないのか!?」

「腹だと!?」

そういってウーロンと共に時計に目を向けた。時計はもうそろそろ一時をまわろうとしていた。

「こ・・・・・こいつ腹をすかしただけでこんなに泣きやがるのか・・・・・!!」

「で、でもよ、やっぱりサイヤ人の血を引いてるから食事にはかなり執念ってモンがあるから仕方ないんじゃじゃないか・・?」

「・・・・・・とにかく、どうすればコイツは泣き止むんだ!?」

流石ベジータ。自分が分かってないのに、態度だけは大きい。ウーロンもちょっとそう思ったが、相手はベジータ、
口に出して言えるはずもない。仕方なくまわりに目を渡らせた。

「・・・お!!あれを食わさせればいいんじゃないか!?」

テーブルの上のトランクス用らしき食べ物を指差し、そこに向かっていくウーロン。そしてそれを持ち上げ、確認する。

「よし!!これでいいと思うぞ!!」

ウーロンは、手に持っていたものをベジータの方へ差し出した。しかしベジータは腕を組んだままで、それを取ろうとしない。

「・・・・・・・・・・・何故オレに渡す。」

「・・・・・・え?いや・・・・だってブルマに頼まれたんでしょう・・?」

その場の雰囲気にあわせ、再び言葉使いに気を配るウーロン。

「オレよりもオマエがやった方が上手そうだ。・・・オレにはよくわからん。」

何か言いた気なウーロンだったが、そのまま食事を暖めるため、食堂の方へと向かっていった。

相変わらず、トランクスは泣いている。ベジータもまゆ毛をピクピクさせながら、なんとか怒鳴るのを押さえていた。

しばらくしてウーロンが居間に戻ってきた。手には暖めてきたトランクスの食事を持っている。
そしてソファーの上で泣いているトランクスの横にいき、その場に座った。
トランクスもトランクスで、食事が目に入るなりピタリと泣き止んだ。

「・・・・・調子のいい奴だ。」

そんなトランクスを見て、ベジータが言葉を漏らす。

「はい、トランクス、口あけて〜。」

そう言ってウーロンは食事をすくったスプーンをトランクスの口へ運んでいった。
トランクスも口を開ける。
しかし、トランクスがそれを口にした瞬間、

「ぶええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

「!!!!!?????」

再びけたたましい泣き声が発せられた。口に入れられた食べ物をはきだし、トランクスの泣き声は
さらに大きくなっていく。

「な・・・・なんだなんだ!?」

ウーロンもなにが起きたのかわからず、しかしとりあえず近くにあったタオルでトランクスの口の周りを拭いた。

「おい!!どういうことだ!!こいつは腹が減ってたんだろう!?じゃあなんで食ったとたんに泣き出すんだ!?」

「そ・・・・そんなこと言われても・・・・・・」

ベジータの怒鳴り声で、ますますトランクスの泣き声は大きくなる。
ベジータとウーロンは為す術もなく、耳を塞いでいた。と、その時、居間のドアが開いた。

「なにやってるのよあんたたち!!!!!!」

『ブ・・・・ブルマ!!!!!!!』

突然の来訪者に驚き、二人の声がハモる。

「オマエ、研究室に行ったんだろ!?なんでまた戻ってきてるんだ!?」

「・・・・・・確かに研究室には行ったわよ!!でもだれかさんがトランクス泣かせちゃったから
 トランクスの泣き声が五月蝿くて研究どころじゃなくなっちゃったのよ!!」

そう言いながら、今だに泣きつづけているトランクスの方へと歩いていき、そのままトランクスを抱き上げた。

「お〜〜〜よしよし♪トランクスくん♪一体どうしたの?何かされちゃったの??」

その言葉にすかさずウーロンが反論する。

「なんにもしてねえよ!!ただお腹空かせてるみたいだから食事をさせようとしただけさ!!」

「食事・・・??」

その言葉を聞き、ブルマはテーブルの上のトランクス用の食事に目をつけ、そして手に取った。

「!?なにこれ!!なんでこんなに熱くしてんのよ!!!」

「へ?」

ウーロンが素っ頓狂な声を上げた。

「熱いって・・・・・べつに火傷するほどでもないだろうよ。」

「・・・・・あんたねえ・・・・・相手は赤ちゃんよ!?これだけ熱かったらそりゃ泣くわよ!!」

「・・・・・うう・・・・・・・。」

ブルマの攻撃(?)に押され、ウーロンは言葉を詰まらせる。ベジータはというとそんな二人の様子を
端から見ているだけだ。

「はいはい♪もうダイジョブよ♪もうママが来ましたからね〜♪」

まだ泣きつづけているトランクスをブルマがあやしつける。

「ほらほら、あんたも男の子でしょ〜〜??もうピーピー泣かないの♪」

「!?」

「!!??」

その瞬間、ウーロンとベジータが固まった。その様子を見、最初、ブルマ何が起きたのかわからなそうな顔をしていたが、
ようやく自分の言葉に気付き、慌てて口を押さえた。しかしもう時はすでに遅い。

ベジータの脳裏に今までの出来事が走馬灯のように走る。

―――――――どうなるベジータ!!!!

 

 

 

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