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            そして夜が明ける(前)

 

 

           光を食い尽くす闇の鳥

           空も大地をも壊していくその鳥は

           闇を生み出し世界を侵食する

 

           消え去った今でも

           ――――お前は尚もその羽を突き立てて世界を蝕むか

 

 

           「はぁ・・・・・・・・・ここの土壌もいいとは言えないわね・・・・」

           「そうですね・・・・・・」

           部屋の片隅に置いてある植木蜂を眺め、ブルマがため息をつく。
           その植木蜂には、発芽し、少しだけ芽を出したものの、力無く横たえ既に茶色くなった植物があった。

           かつて世界が人造人間の脅威に慄いていた頃、その数え切れないほどの爆発により、
           様々な細菌やウイルスが生み出され、その土地の土壌を汚し不毛の大地へと変えてしまったいた。
           それは3年たった今でも変わらない。唯一変わったとすれば、
           空気中には危険な細菌やウイルスは居なくなったということだけだ。
           辛うじて人造人間の破壊を免れた地でのみ、今は食料の栽培が進められている。
           しかし、問題は食糧だけではない。
           世界中の殆どの植物が枯れてしまっているのだ。
           いくら世界の人口が激減したと言っても、
           それ以上の数の植物が消え去ってしまっていては酸素の供給が追いつかない。
           ある科学者は言う。このままではいずれ消費者は滅び、そして生産者も滅びてしまうだろうと。
           世界は焦っていた。

           「・・・・・人造人間はこの手で倒した筈なのに・・・それでも世界はまだ奴らに破壊されているんですね・・・・」

           「・・・・・・・・・・・・・・。」

           出窓の部分に腰をかけ、肩膝を抱え込み、トランクスは空を見上げた。
           そのトランクスを見て、ブルマも重たそうな足取りで、テーブルへとつき、腰をかける。

           「・・・・でもさ、とりあえず、いつ殺されるか分からない恐怖はもうなくなったじゃない!
            それだけでも私は充分だと思うわ!それに、いつか絶対、不毛の地も元通りになるって!
            世界の科学者達が、今その研究を一斉にしてるんだし!大丈夫だって!」

           トランクスをなんとか励まそうとするブルマだったが、空振りに終わる。
           トランクスは膝をさらにぎゅっと抱え、そのままうつ伏せた。

           「・・・・・トランクス・・・・・・」

           居間に、沈黙の時間が流れる。

           「・・・・・・・・母さん、オレちょっと出かけてきますね。」

           「・・・え?」

           突然口を開くと、トランクスは母の返事も待たずに、家を後にした。

      
                   カーン・・・・カーン・・・・・

           街を築き直す音。
           3年前のあの人造人間の恐怖が無くなった日から、器材が揃い難いという障害はあったものの、
           街は徐々にではあるが、復興を始めていった。
           今では、最後の仕上げというところまで復興は進んでいる。
           人々も笑顔を取り戻してつつあった。
           しかし、人造人間の残していった爪あとに、何処か不安を隠したような表情をしている。

           トランクスは舗装された道を歩きながら、複雑な表情をしている。
           街は元に戻りつつはあったが、前にあったような街路樹は全く無い。
           家々の玄関を飾っていた花々も見当たらない。
           トランクスはこの寂しい空間に居たたまらなくなり
           舞空術で空へと舞い上がり、何処に行くでもなく飛び回った。
           時折下を眺めるが、見えるのは荒れ果てた荒野と、人工的な建物だけ。
           夕暮れという時刻が、更に世界を茶色くさせる。

           (・・・・・・・悟飯さん・・・世界は・・・終わってしまうのでしょうか・・・)

           枯れた草花や木々を見る度、トランクスの脳裏にはある一つの出来事が過っていった。

 

 

 

 

 

               バタン!!

           「悟飯さん!!!」

           「!?どうしたトランクス!!」

           手に何かを持ち、トランクスが悟飯の部屋に駆け込んでくる。
           その緊迫した表情に、悟飯も緊張を募らせる。

           「今、母さんが微弱なんですが、救難信号をキャッチしたそうなんです!」

           すると、トランクスは手に持っていた地図をテーブルにバッと広げ、
           とある地点を指差す。
           悟飯も、テーブルの方へと早足で近づき、その地点を見つめる。

           「この方角からです!・・・・どうしますか?舞空術で飛んでいきますか?」

           「・・・いや・・・この辺は人造人間が破壊していった地域の向こう側だ。
            もしかしたら危険な細菌が発生しているかもしれないから飛行機で行こう。
            用心に越したことはないしね。」

           「・・・じゃあ、飛行機でこの河の向こうからまわって、引き換えす時はパオズ山の南側を通って行きましょうか?」

           一瞬、《パオズ山》という言葉に、悟飯がピクリと反応する。

           「そ・・・・そうだね、それなら信号の発信地も見落とさないだろうし・・・・・・」

           「・・・それじゃあ、母さんに飛行機を借りてきますね!」

           トランクスも悟飯の様子に気付いたが、敢えて何も言わずに部屋を出、ブルマの元へと向かって行った。
           そして、部屋に残された悟飯は、窓からパオズ山があると思われる方角を眺めた。

           「・・・・・・・・・・・。」

           かつて、悟飯が、父や母とともに暮らしていたパオズ山は、人が殆ど住んでいないのにも関わらず、 
           人造人間達によって攻撃され、その爆発の時に発生した細菌により、木々は腐り、花々は萎れ、
           不毛の大地へと変わってしまっていた。

           遣る瀬無い気持ちに駆られる悟飯。
           しかし今はそんな気持ちになっている場合じゃないと自分を奮い立たせ、トランクスの後を追った。

 

 

           「・・・・・・・・・・・ここですかね。」

           「ん・・・・・多分ここだと思う・・・・・。」

           飛行機の窓から下を見下ろすと、無残に破壊された一件の家がそこにあった。

           「どうします?降りますか?」

           「そうだね。ここはどうやら人造人間たちが素手で壊していっただけみたいだから 
            多分降りても大丈夫だと思うし、もしかしたら誰か居るかもしれない。」

           そして二人は飛行機を地に付け、そのかつて家であった瓦礫の山の中を捜し始めた。

           「・・・・だれも居ませんね。」

           「あるのは、この”助けて”って呼びつづける機械だけか・・・・・・・・・・・・」

           「ここの住人はどうしたんでしょうね・・・・・もう既に別の場所に避難しているか・・・・・ 
            あるいは・・・・・・・・・・・・・」

           (人造人間によって跡形もなく消されてしまったか・・・・・・・・・)

           「・・・・・・・・・・・行こう、トランクス。」

           そして悟飯は救難信号を響かせつづけている機械のスイッチを切り、
           トランクスを引き連れ、飛行機の中へと戻って行った。

 

           そして飛行機は飛びあがり、パオズ山の方へと向かって行った。
           しかし相変わらず下に広がるのは茶色い大地だけで寂しい眺めが続いている。

           「いつまでこんなことが続くんでしょうかね・・・・・・・・。」

           「・・・・・・・・・・・・・。」

           「もう人造人間が現れて何年たっているんだろう・・・・・・・。」

           「・・・・・・・・・・・・・。」

           自分に、そして悟飯に喋りかけるトランクスであったが、悟飯は無言のまま、
           窓から下を見つめていた。

           「・・・・・・・・・・悟飯さん・・・・・・・・。」

           その様子を見て、トランクスも口を閉じた。
           飛行機の中は重たい空気が流れている。 
           トランクスはその空気に耐え兼ね、何も考えないように操縦に専念している。

           と、その時、

           「・・・・・・・・あ・・・・」

           不意に悟飯が声を上げた。 
           窓の外を、目を凝らして見つめている。

           「・・・・?どうしたんですか悟飯さん?」

           「・・・・・・・・・緑だ・・・・・・・・・・」

           「・・え?」

           徐々に悟飯の顔が明るくなっていく。
           その様子に、トランクスも飛行機を自動操縦に切り替え、
           窓の外を眺めてみる。
           すると、そこには緑が、ポツンポツンとではあるが荒野の大地に根を下ろしているように見えた。

           「そ・・・・そんな・・・・・ここは汚染地域で、植物は育たないはずじゃ・・・・・・・?」

           自分は夢を見ているのか、トランクスはそう思った。
           しかし何度目を擦ってみても、やはりそこには変わらず緑がある。         

           「・・・・ちょっと下に行って見てくるね」

           ドアに手をかける悟飯。

           「え?こんなところでですか!?ダメですよ!どんな細菌やウイルスがいるとも知れないのに!」

           「大丈夫だよ。緑があるってことは、少なくとも他の汚染された土地よりは浄化されてるって 
            ことだろ?」

           「で・・・・でも・・・・・・・」

           「すぐに戻ってくるから。」

           「あ・・・・・・・・・・」

           トランクスの制止も効かず、悟飯はドアを開け、パオズ山の大地へと降りていった。

           「・・・悟飯さん・・・・・・」

 

           しばらく、トランクスは飛行機を空中停止させて、悟飯の帰りを待っていた。
           自分が育った地で、色々と思うこともあるだろうと、トランクスは悟飯を追わず
           飛行機の中に留まっていた。

           「・・・・・・・・悟飯さん遅いな・・・・・・・」

           時間は計っていないので、どの位の時が経ったかは定かではないが、
           それでも、さっきまで短かった山の影が少し伸び、太陽は山の影に入ろうとしていた。

           「・・・・・・・・・・どうしたんだろう・・・・・まさか寝ちゃったってことは無いだろうし・・・・・・・。」

           気は引けるもののやっぱり気になる。

           「・・・・・・・・・・・・・・・ちょっと見て来よう・・・・・。」

           そしてトランクスもドアを開け、大地へと降り立ち、悟飯を探し始めた。

           「悟飯さ〜ん?」

           大きな岩が多く、見渡す事は難しい。急ぐことでもないので、トランクスは歩きながら
           悟飯の姿を探した。

           「悟飯さ〜ん?・・・・・・あ・・・!」

           岩の向こうに、悟飯の紺色の胴着を見つけると、 
           トランクスは足を速め、悟飯の元へと近づいていく。

           「悟飯さん!そろそろ日が落ちてしまいますよ!」

           呼びかけるトランクスだが、悟飯は振り向かない。
           不思議に思い、トランクスは佇む悟飯の向こうに目をやった。

           「・・・・!!!」

          


変な切り方ですね〜〜〜(笑)なんか設定に変なの加わってるし・・・・(^^;


     
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