愛する事(2)                            written by えりえるさん

 
「なあ・・・」
ルークはいつになく真剣な面持ちをしている。
「何だ?」
「昨日も一昨日もその一昨日も思ってたんだけどよー」
「長いな・・・」
「何で何も食わねえだ?」
ピッコロは表情を崩さず
「俺は水だけで生きていけるのだ・・・」
と答えた。
「やせ我慢する事ねえだよ!!ホレ、食うだ!!」
そう言うとルークはピッコロに近づき、口の中に無理矢理押しこもうとした。
「や、やめろ!!やせ我慢ではない!!」
ピッコロがルークを振りほどくと、ルークは泣きそうな顔になった。
「お・・・・おい?」
「だって・・・」
「ん?」
「そんなに顔色が悪いでねえか!!オラはもう心配で心配で・・・ダイエットなんて体に良くねえだ。やめるだよ!!」
ピッコロは(また言われた・・・)と思いながらやれやれといった面持ちで
「俺はこれが普通なんだ・・・」
と答えた。
「え・・・?いつも不健康なのけ・・・?」
「ちっがーう!!俺はナメック星人だからだ。」
「う・・・宇宙人?」
さっき少し取り乱した事を少し恥ずかしく思い、ピッコロは軽くうなずいた。
その反面、ルークの目は見る見る輝いていく。
「うわー!!初めて見ただ!!カメラ持ってくれば良かっただよ!なっ、UFOとか乗るのけ!?見てみたいだなー!!」
ピッコロ、心の俳句
(我思う 付き合ってられん  この女)
・・・・・いい俳句だ。

それから数日が過ぎ、だんだんお互いの事を深く知るようになっていった・・・
「えぇーー!!!???マジュニアさ、男じゃないのけ!?」
「あぁ、ナメック星人には男も女もない・・・」
「うそこくでねえだよ!!じゃあどうやって子どもを産むだか!?」
「口から卵を生むのだ・・」
「うわっ!最近の宇宙はそこまで進化しとるのけ!?すげぇだなー!!」
(最近の宇宙って・・・昔も知らんくせに・・・)
ピッコロはそう思うと静かに微笑んだ。
「なぁ、せっかくここに居るんだし、オラと一戦やってみねえか?」
「あ、ああ・・・」
そこで二人は戦った。ルークも強い事は強かったが、とうていピッコロにはかなわなかった・・
「あぁー負けた!完敗だべ!!」
「フン・・・まだまだ修行が足りんな」
「あははっ今度は勝ってみせるだからな!!」
ルークは満面の笑みを浮かべた。それにつられ、ピッコロも微笑んだ。
いつか敵となる日が来るかもしれない・・・でもピッコロはルークを憎む事が出来なかった。
こんな気持ちになるのは、悟飯の時以来だった・・・

(この素直さがオレを穏やかにさせるのか・・・)
ピッコロはルークをじっと見つめた。
美しい黒髪、大きく純粋そうな目、そして重く固い戦闘服・・・
顔立ちは似ていても家族を持ち、
幸せに暮らしているチチとピッコロを倒すため修行に励んでいるルークとはまるで境遇が違う事を改めて思い知らされた気分だった。
「さっきから何ボーっとしとるのけ?」
ピッコロは我に返った。
「い、いや、何でも・・・」
「まさかオラに惚れたんじゃねぇだろうなあ?」
ルークが意地悪な笑みを浮かべながら聞く。
「そ、そんなことは断じてない!!オレはナメック星人であり、男でも女でもあり・・・」
焦って顔を真っ赤にしたピッコロを見てルークは思わず吹き出した。
「ぷっアーッ八ハッハ!!」
ピッコロはまた赤面した。隣でルークがげらげら笑っている。
ああ見えて孫も苦労しとるんだな・・・
心の中でひそかにそう思った。
そしてルークの無邪気な笑顔を横目で見つつ、ピッコロは聞いた。
「おい・・・」
「何だ?」
「お前、ピッコロ大魔王の顔を知らないのか?」
「あぁ、知らねぇだよ!!」
それを聞いてピッコロは苦笑した。
「知らないのに、倒すのか?」
「いや、んなわけねえべ!強くなってから父ちゃんのトコに写真もらいにいくだよ。」
「そうか・・・ではお前はどうしてピッコロ大魔王を倒したいんだ?」
・・・一番聞きたかったことだった
「・・・・父ちゃんに・・・認めてもらうためだ・・・」
さっきまでの元気な雰囲気と違い、ルークは静かに、ゆっくりと語り始めた。
「父ちゃんは・・・母ちゃんを殺したピッコロ大魔王を恨んでるだ・・・
 母ちゃんが殺されてからオラは、ピッコロ大魔王を倒すために育てられたようなもんだべ・・・」
「そうか・・・・」
「だから、愛された記憶も抱かれた記憶も何もねえべ・・・」
「・・・・・・・・・」
ピッコロは何も言う事が出来なかった。
「ごめんなこんな話して!!」
そう言ってルークはにっこり笑った。

 

 
 

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